2022/09/10
バスの中、立った状態で手書きの日記をつけている人がいて思わずみてしまう。信号待ちしている車体が、等間隔のリズムで動物のように震える。息をしているよう。
2022/09/25
一つ前のバス停で男性が降車する。バスがその人を何度も追い抜く。隣に座っていた残った女性はその人を目で追う。男性が振り返る。その度にお互いが繰り返し手を振る。
2022/10/07
いつものジャズバーの軒先でバスが来るまで雨宿りする。
2022/10/13
傘を閉じてバスに乗る。車内と外気の温度差、窓ガラスが曇って向こうが見えない。雨の日の音楽の聞こえ方が好きだと思う。
2022/11/11
お店に行くためのバス停で、横に並んだ女性が唐突に腕をゆっくり前につき出す。そのまま膝を曲げていき重心が移動していく。太極拳だ。手を上げていると思ったタクシーがその人の前で少し停止してから去った。
2022/11/27
いつも走って駆け寄っても定刻通り発進するバスが、今朝はタイヤを少し動かしたタイミングで止まり「乗りますー?」とアナウンスしてくれて嬉しかった。
2022/12/05
バスがちょうど行ってしまったので、歩いて職場に向かうことにする。とても寒い。歩いている間、なにか暖まる音楽を聴こうと思った。
2022/12/13
バスの窓から見える風景。ビニールカーテンの向こうから白衣の女性が腕だけを出している。路上に置かれたパイプ椅子に座って鼻の穴に綿棒を突っ込まれている人。
2022/12/19
朝ご飯に昨夜つくった豚肉とキャベツの味噌鍋を食べた。かなり食べた。それが原因かはわからないけれどお腹が痛い。めずらしく道が渋滞していて歩く速度よりもバスが遅い。景色が動かないぶん、痛みの感覚に意識がいく。
2023/2/13
バスに赤いジャケットの男の子が乗り込んでくる。誰かに買ってもらったのか、厚紙でできた恐竜の立体模型を両手で大切に抱えていて、足をバタバタさせて嬉しそうにしている。
2023/2/15
イヤホンで音楽を聞いている。バス停で隣に並んだ男性がヘッドホンで耳を塞ぐ。同じ景色を見ながら違う音を聴いている。景色も違って見えるだろうか想像する。